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1986年7月。
駐車場手前に、テラカッタの小屋ができた。
そこには元気で笑顔の素敵な女性が居た。
訪れる旅行者に、おかえりと声をかけ、
もてなした。
いつしかその場所にハイジーの家があるのが
ずっと自然だったように思い始めた。
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開陽台が好きで、毎年この丘に登る旅人は
自然とハイジーの家に立ち寄るようになり、
一番奥のボックス席で
日がな1日、くだらない話をして過ごした。
そんな若者を、ハイジーの家のおかあさんは
息子たちといい、
丘を去る時は無事と再会を心にこめて
見えなくなるまで手を振ってくれた。
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1994年の秋、
いつものように冬の為に店じまいをした。
しかしいつもと違っていたのは、
このテラカッタの建物は、この日を境に二度と
営業を再開しない事だった。
8シーズン、旅人の憩いの場だったこの建物は
おかあさんの息子たちと共にお別れをした。
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翌1995年6月、中標津町が
展望台を新しく建てかえ、完成。
ほどなくして、
この1階に「ハイジーの家」の看板がついた。
第2世代に入ったハイジーの家には、
かわらぬおかあさんの「おかえり」という声が
元気よく響いている。
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